これまで「BrainBank」に寄せられた相談と、それに対する相談員の回答の中から
他のケースにも活用できそうな問題解決の手法や情報などが含まれる事例を集めました。
実際に相談をもちかける前に、ご自身の事案と似たケースをチェックしてみてください。
役にたつ回答を引き出す質問のしかたの参考にもなるはずです。

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 ケース:01  独自開発の技術を使った新製品が特許権侵害で訴えられたが
 ケース:02  友人の親戚の休眠会社を買収して介護サービス事業をはじめるのは。
 ケース:03  技術屋だから経理は不得意。事業計画は本当に必要か。
 ケース:04  社名は日本語でなければダメか。
 ケース:05  創業には有限会社でも最低300万円の資金が必要か。
 ケース:06  

 ケース:01 相談依頼者 回答者 回答日
:S.Yさん(会社経営) 澤田 淳 :2001.04.12
Q. 独自開発の技術を使った新製品が特許権侵害で訴えられたが
 私は、独自に考案した技術にもとづいた計測機器の製造を主体とした事業を2年ほど前から始めました。
これは、もちろん他の真似をしたものではなく、私とパートナーが考え、実験を繰り返して完成したオリジナル製品なのですが、最近になってK社から自社特許の侵害である旨の警告を受けて困っています。内容を見ると、確かによく似た技術ではあるのですが、K社はそれを広く宣伝していたわけではありませんから、私が真似をしたのではないと主張できるのではないかと思っています。特許法のことはよく知りませんが、どうしたら良いかアドバイスをお願いします。
 
A. 特許権侵害を否定する主張は正当性なし。先行特許の調査は不可欠。 
 お問い合わせの文面からだけでは、前後の細かい経緯が不明ですが、結論から言えば残念ながら、貴方の主張は特許法上から見て、正当性がありません。あくまでも先行者の利益を守ることによって、研究開発(投資)意欲を喚起し、フェアな競争を刺激することによって産業の発展を促すのが特許法の基本姿勢だからです。冷たい言い方になりますが、「知らなかったのが悪い」のです。
 このような事態を招かないために、技術をキーポイントとする事業を興そうとする方々にぜひやってほしいのが、先行特許の調査です。特許の件数は膨大であり、とてもそんなことは出来ないと考える向きもあろうと思いますが、今は特許庁のホームページ中にある「特許電子図書館」(http://www.jpo-miti.go.jp/homepg.ipdl)により、誰でも無料で検索することが可能です。
 ただし、検索するにあたっての、キーワードの選び方や、その結果浮かび上がってきた特許に貴方の技術が抵触するかどうかの判断などは、誰にでも簡単に出来るとは限りませんから、必要に応じて専門家(弁理士)の力を活用する必要はあると思います。
 なお、貴方が法律上、勝てる可能性があるのは、K社出願日より以前に、カタログ、パンフレットなどによってその技術を広告宣伝していた場合です。それが証明できるなら、逆にK社の特許には新規性がなく公知のものであった、ということでその特許が無効になります。
 ケース:02 相談依頼者 回答者 回答日
:T.Hさん(会社経営) 澤田 淳 :2001.04.18
Q. 友人の親戚の休眠会社を買収して介護サービス事業をはじめるのは。
 友人3人と共同経営で、介護サービス関連の事業を株式会社を設立して起業したいと計画しています。その仲間の一人が、親戚が経営している会社が休眠状態にあるので買わないかという提案を持ってきました。どう判断したらよいでしょうか。
 
A. 債務の存在や融資・支援制度が受けられない問題も。 
 一般論から言えば、あまりお勧めはできません。もちろん違法ではありませんし、一概に止めるべきとは限りませんが、少なくとも素人判断や友情にもとづいての決断は危険です。
 その会社を買うということは、換言すれば株式をすべて買い取ることになりますが、その価格としていくらが妥当なのか明快な基準はありません。もし、相手がどうせ休眠しているのだから只同然でよい、と言ったとしても、色々調べなければなりません。一番心配なのは、明らかになっていない債務の存在可能性です。それは知らなかった(知らされていなかった)し、すでに実態は別の会社だという理屈は絶対に通用しないのです。この他にも面倒な問題はいろいろありますが、それがクリアできたとしても、新規創業関連の融資・支援制度が原則的には利用できなくなることも覚悟しておく必要があります。
 こうした問題点を承知の上でなお買うメリットがあるとすれば、「安く」買えるという場合でしょうが、ここにも一つ落とし穴があります。不当に安い、と認定されてしまえば「贈与税」の問題も生じかねません。結論を言えば、「私ならやめておきます」ということになります。
 ケース:03 相談依頼者 回答者 回答日
:F.TS.Yさん(会社員) 澤田 淳 :2001.04.20
Q. 技術屋だから経理は不得意。事業計画は本当に必要か。
 貴サイトをはじめとして創業支援機関は数多くあり、関連の書物も出回っていますので、一通り目を通しました。何を読んでも共通していることの一つは、きちんと事業計画を立てシミュレーションしなさいということですが、私は根っからの技術屋で、経理のことは漠然としかわかりません。それに、将来の予測はいくら考えみても予測に過ぎず、そんな曖昧な事柄に立脚して損益計算書やバランスシートを作って見ても気休めに過ぎないという気もするのですが・・・。
 
A. 問題は「経理」ではなく、「資金繰り」。 
 敢えて申し上げますが、貴方はかなり危険な考え方をしておられます。
 本気でそう思っておられるのなら、起業は断念して既存の会社に勤務なさるべきです。文面から拝見すると、技術にはかなり自信を持っておられるようですし、それなりの裏づけもあることと思われますので、会社に勤務しても技術者として生きがいのある人生をおくる道はいくらでも開けていると思います。
 しかし、それでは本サイトの相談窓口として意味がありませんので、以下に2つのポイントだけお答えしておきます。
 一番の問題は、いわゆる「経理」ではなく、「資金繰り」です。P/Lの上でいくら儲かっていても資金が不足して倒産する会社はいくらでもあります。
 最近の経営学では「キャッシュフロー」という概念が最重要になっています。銀行を始めとした金融機関も、「自力でキャッシュを生み出せる会社」であるかどうか、を見るようになっています。
 「資金繰り」を見るというのはどういうことでしょうか。考え方はきわめて簡単です。設立時の費用と設立後の費用(1年間位を見通しておく)を合算した金額と、設立時に準備できる金額(自己資金でも借入金でもかまいません)と収入見込みの合計を比較して資金が不足するかどうかです。
 この差し引きがプラスならば、設立当初1〜2年のP/Lが赤字であったとしても、「何とかなる」と考えることはさほど無謀とは言えません。
 ケース:04 相談依頼者 回答者 回答日
:W.Aさん(学生) 澤田 淳 :2001.04.21
Q. 社名は日本語でなければダメか。
 今すぐにではないけれど、将来自分で会社を経営したいと思っています。そのときには、自分の思いを込めたユニークで目立つ社名をつけるつもりですが、友人が会社の名前は日本語でなければダメだと言います。本当でしょうか。
 
A. 社名は、漢字、カタカナ、ひらがなに限定。商標はアルファベットもOK。
 商法にしたがって、登記するには、漢字、カタカナ、ひらがなに限定されます。
  しかし、ロゴマークとか商標としてカタログとか名刺に使用するのは、この制限に関係なくアルファベット、数字など何を用いてもかまいません。
  ちなみに、JR東海の正式社名は東海旅客鉄道鰍ナあり、KDDIは潟fィー・ディー・アイです。
 ケース:05 相談依頼者 回答者 回答日
:W.Aさん(会社員) 澤田 淳 :2001.04.25
Q. 創業には有限会社でも最低300万円の資金が必要か。
 会社をつくる場合、最低でも株式会社なら1000万円、有限会社でも300万円の資本金が必要と聞きました。こんなにお金がないと創業することはできないのでしょうか。
 
A. 法人にこだわる意味は小さい。個人としてビジネスをはじめる道も。 
 「法人」を設立して事業を始めるとすれば、たしかにご質問のとおりです。
  しかし、事業の創業=法人設立ではありません。個人として事業=ビジネスを始めるという道も考えてみるべきではないでしょうか。これならば、税務署に事業開始届を提出するだけで済みます。
 会社形態にしないと事業は実質的に進めていけないと思い込んでいる方も多いようですが、それでは会社(特に株式会社)にする利点は何でしょうか。
 冷静に考えてみると、絶対的メリットはほとんどありません。よほど知名度が高い、信用がある企業でないかぎり、一般投資家から資金を集めることは不可能ですし、金融機関から融資を受ける場合にも、ほぼ間違いなく代表者の個人保証を求められるのが現実です。
 また、株式会社であれば社会的信用が違い、取引上有利に働くという呪縛にとらわれている方もいますが、本当にそうでしょうか。上場会社とか株式公開企業であれば別ですが、聞いたこともない会社の人から名刺をもらって、それが株式会社だからという理由で貴方は信用してしまうでしょうか。NОというほうが健全な判断だと私は考えます。株式会社であろうと個人事業であろうと、新たな取引を開始するとすれば、その経営実態や製品・サービスそのものの魅力を検討して価値ありと判断されれば、契約にいたるのではないでしょうか。
  話を元に戻せば、とにもかくにも「法人」にしたい、そして費用を安くしたい、ということならば合名会社(資本金ゼロでも可。登録免許税6万のみ)にする方法はあります。しかし、そこまでして「法人」にこだわる意味は小さい、というのが私の見解です。